スポーツトレーナーが答える!速く走ることについてよく聞かれる17の質問

“速く走る”ことについていろいろとお話してきましたが、ここでは具体的な疑問にお答えしていきます。


Q.スタートでいつも出遅れます。出遅れまいと焦れば、余計にうまくいかない
ようです

A.スタートは確かに大事ですが、それが全てではありません。いくら短距離走だってスタートだけでは決まりませんよ。

スタートはトップスピードに持って行くための助走にすぎません。しっかり地面をとらえて、スピードを上げていくことを意識して下さい。スピードがゼロの時点から動かすのは、とても大きな力が必要ですが、力まずに楽なスタートから次の走りに繋げていくことをイメージしてあげるといいと思います。


Q.前傾姿勢のつもりのようですが、前屈みになって体が折れてしまいます

 A.前傾と前屈みは違います。お尻を突き出した形になっていると出遅れてしまいます。「腰の重心を移動する」というと難しく聞こえるかもしれませんが、お尻から出ていくつもり…というとわかりやすいかもしれません。

無理に足を前に出しているような感じがしたら、最初の1 歩は前に体重をかけ、自然に前に倒れる力を利用してスタートするよう教えてあげてください。そして2歩、3歩で力強く踏み出すという意識で走ってみましょう。


Q.スタートすると体がぴょんと跳ねたようになってしまいます

 A.上に跳ねてしまうということはスタートダッシュをジャンプする力に使ってしまっています。それはとてももったいないことなので、低い姿勢を保つことに気をつけてあげて下さい。基本的な体力、背筋、腹筋が足りないので、楽な姿勢に逃げてしまっているのではないでしょうか。

腹筋やスクワットなどはちょっとした時間にも簡単にできる筋トレですから、おうちの中で一緒に頑張ってみてください。

補助的に腕の振りを「前へ振り出す」という意識を強くして練習してみてもいいでしょう。腕を前へ伸ばすようなつもりで、体のラインを上ではなく前に持って行きましょう。


Q.蹴った足が後ろに流れてしまいます

A.蹴る力が前への推進力になっていないようです。蹴った後の引きつけが遅くなっていませんか?また、後ろに蹴ろうと意識しすぎると流れるので、下に蹴るくらいのつもりでキックするよう教えてあげて下さい。

低い姿勢で地面を蹴るにはある程度の筋力が必要ですから、砂地や坂などを利用して練習してみてください。


Q.スタートからうまく繋がって走れていないようです

A.スタートから加速への切り替えは、本文では3歩からと書いていますが、実際には個人差があるものです。何歩ということにとらわれず、まずはきちんと蹴って加速する感覚を覚えさせることが必要です。

短い距離で加速できればそれにこしたことはないのですが、うまくいってないという感覚があるなら、少し長めに考えてみてもいいと思いますよ。コースの脇などにマークを置いて、そこを目安に体を起こして加速していく方法があります。

また、足の蹴り方や腕の振り方、ピッチの数など、意識するところを変えてみて、何本か集中的に走って見ると体感できるかもしれません。



Q.スタートで失敗して頭が真っ白になってしまうようです

A.スタートの失敗はタイムだけでなく、精神的にもダメージを受けてしまいがちですね。後半の走りに自信があれば、それほど慌てることではないのですが、動揺してしまうと後の走りにも影響しそうです。

誰かに少し前に立ってもらって、自分は1mほど後ろから一緒にスタートするという練習を
してみてください。最初からスタートを失敗した!という想定での練習です。

相手だって後半は苦しいのですから、スタートで失敗しても後で挽回できることもあると分かれば、パニック状態にはならないですむでしょう。どうしてもスタートが苦手だったら、スタミナを付けて後半勝負という考え方もあります。

実際にできるかどうかは練習次第ですが、スタートだけがすべてだという思い込みは必要ありませんよ。


Q.お尻が出てしまって体がまっすぐになりません

A.「腰が引けている」とか「腰が低い」などとも表現されますが、背中が前屈みになっていると、バランスを取ろうとして足が体の前に出てしまいます。

まずは背筋を伸ばし、重心が前に偏りすぎないようにします。

全力で走っている状態で直すのは難しいので、歩いたりジョギングの状態で意識して直していってください。



Q.腕を振るのが遅く、なかなか速くなりません

A.腕の振りは足が出るタイミングと同調しています。腕だけ速く振っても足が出ていなければ意味がありません。むしろ足の回転が速ければ自然に腕の振りも速くなるはずです。腕の振りが足のブレーキにならないように、足についていけ、さらに正しく振れることを心がけましょう。

腕の振りに気を取られると上半身に力が入ったり、足の動きがぎこちなくなったりしがちです。リラックスした状態で足の動きを反映した、素直な腕振りができるようにしましょう。




Q.足の蹴り方がイマイチで、蹴った力が逃げているような気がします

 A.蹴り方というより、蹴っている場所がずれていることが考えられます。
足を前に出そうとする意識から、重心より前で蹴ったり、つま先から着地していませんか? 重心は体を直線にしたときの延長線上にありますから、着地は体の中央真下で行うように気をつけて下さい。

地面に着いた足に体重が乗るようにすると言えばわかりやすいでしょうか。スタート時は大きな力で踏み出して加速し地面を踏みしめ、スピードが出てからは接地時間は短く、すぐに足を引きつける意識でやってみるといいかと思います。



Q.走っていると「なんだかフラフラしている」と言われますが・・・

A.左右にブレてしまい、フラフラした走りに見えるんだと思います。原因は着地が体の正面にきていないことだと思います。

走ることに夢中になってしまうと、とにかく足を出すことだけで精一杯になってしまい、バラバラの方向に足を出していることが多いようです。普段歩く時も注意して、足が常に体の正面に出ているよう気を付けて下さい。

歩き方のクセはそのまま走り方にも出てしまいます。地面に着いて体を支える足に、しっかり
体重が乗ることを意識するだけで変わってくるはずです。



Q.正しいフォームがイマイチ上手にできません

A.フォームに基本形はありますが、自分のフォームを見つけることも悪くないと思っています。体格も骨格も違う一流アスリートのフォームを、ただ形だけマネしても速く走れるものではありません。

ただそういうイメージをすることはいいことです。のびのびと大きく走る姿を想像して、どうすればそうなるのかをひとつひとつ検証していくといいですよ。速く走れる友達のフォームを見て比べる等すれば、より具体的に問題がわかってくるはずです。

自分の走りを客観的に見るために、ビデオやデジカメのムービーなどで撮影し、動画で確認してみるのはいい方法だと思います。



Q.まっすぐ下に蹴ると前に進まないんじゃないでしょうか?

A.止まった状態で下に蹴っていれば足踏みですが、ここでは何度も「下に蹴る」と書いてきたので本当にそうやってしまう人もいるかもしれませんね(笑)

実際には走っている状態で下に蹴ると、体が前に進んでいますから後ろに蹴る力になります。つまり、下に蹴っても自然に後方への蹴る力になるのです。それを後ろに蹴ろうとすると、前に進んでいる体に足がついていかず、足の蹴りが流れている走りになってしまうのです。


『地面をしっかり蹴って、その足に重心を乗せる』これがポイントですので、重心がグラグラ傾かないように気をつけましょう。



Q.スタートはうまくいくのですが、体を起こすタイミングがわかりません

 A.もしかしたら、頭から突っ込んでいくと速いようなイメージを持っているのかもしれません。スタートの前傾姿勢は、走っている状態からいうとむしろ不自然な形です。最初の爆発的なエネルギーを引き出すための特殊な姿勢だと思って下さい。スピードを出すためには姿勢を起こして、股関節がスムースに動かせる状態に持って行くことが肝心です。

最初の前傾姿勢で走るのは 10~15m位までを目安に考え、コース上にマークを置くなどして、体が起きた状態に持って行く練習をしてみましょう。


Q.後半になると急にスピードが落ちてしまいます。どうすればいいでしょうか?

A.前半でムキになって体力を使い果たしている可能性があります。短距離でも後半はスピードが落ちるのが普通です。一緒に走っているライバルだって加速し続けることはできないので、最後はスタミナ勝負になります。

それは基礎体力をつけるトレーニングをしたり、食事に気をつけるなどしてスタミナを付けて下さい。その限られたスタミナを上手に配分することで、後半の減速を最小限にとどめられ「後半に伸びてくる」という走りになります。

また、どこかに無駄な力が入っているかもしれません。
肩が怒り肩になっていたり、背中が緊張しているということはありませんか?走りに関係ないところで力を使ってしまっていたらもったいないので、よくチェックしてみて下さい。



Q.ケガの予防や気を付けることはありますか?

A.準備運動、特に柔軟運動(ストレッチング)は必要です。走ることにあまり関係なさそうに見えますが、体の柔軟性は全てのスポーツに共通して大事なことです。

体が硬い人にはケガも多いのです。
短い距離だからと言って急に全力で走ると、筋肉や関節に大きな負担になりますから、準備運動はきちんとやってください。また運動後は、疲れた筋肉をほぐすよう、無理のないよう気持ちよく伸ばしてあげてください。

運動後の筋肉は炎症を起こして熱を持っていることが多いのです。

水分不足、疲労の蓄積、靴が合っていないなどの理由で足がつる、けいれんすることもありますし、特に夏の暑い時期や冬の寒い時期などは体調に気をつけ、無理をしないようにしましょう。

夏場は熱中症にならないよう水分補給に十分注意をしてくださいね。



Q.普段の食事で気を付けることはありますか? またレース前の食事で気を付けることはありますか?

A.普段の食事は体作りのため、栄養バランスの取れたものがいいですよ。
タンパク質(動物性・植物性)、脂質、炭水化物、ミネラル、繊維質などは成長期なので、偏らずに食べてもらえるように工夫してあげて下さい。好き嫌いをなくすなら早いうちがいいですからね。

練習で疲れているからと言って、夕食だけにカロリーが偏らないように気をつけて下さい。たくさん食べないと満腹感がないという習慣は、肥満につながります。

レース前にもたくさん食べたくなるという傾向を生んでしまう可能性があります。レースの前であれば、やはり炭水化物がいいでしょう。

消化が早く素早くエネルギーになってくれます。腹八分目でレースに臨んでください。本番が終わったらご褒美に好きなものを用意してあげるといいと思いますよ。“特別なメニュー”というのは、子供のモチベーションもあがりますよ。



Q.運動後にマッサージは素人がやっても大丈夫でしょうか?

A.スポーツトレーナーのような本格的なマッサージは難しいですが、頑張っているお子さんを励ます意味でも、スキンシップになるマッサージはおすすめです。

いちばん簡単なものは、手の平を体にぴったりつけて、筋肉の繊維に沿って、手足の先端から心臓に向かってこすってあげる方法です。
血液やリンパの流れを促して、疲労物質を取り除くのに効果的です。

また、軽くリズミカルに叩いてあげたり、筋肉を震わせてリラックスさせてあげるのもいいと思います。専門家ではないので、関節や筋肉を強く引っ張ったり、伸ばしたりするようなことは避け、ゆっくり少しずつ行うといいですよ。

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